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木の植え方

移植について調べている方は 植木・庭木の移植について をどうぞ。
できれば、ご自分で木を植えて頂きたいです。「木を植えるのは、商売人に頼まなきゃ」、「素人が木を植えても大丈夫?」と考えている方が以外と多いですね。
でも、そんなに難しい事ではありません。人の手で運べないような大きな木は、確かに難しいので植木屋に頼むことになるでしょけど。そうでなければ以外と簡単なんです。
そして、自分で木を植えることで、その木に対する愛着が増すでしょうし、ご自宅の庭の土の状態が判ります。この土の状態を知ることは大事なことです。植物に対する水の与え方や施肥などの管理が違ってくるからです。

まず、木を選ぶことから始めましょう。

庭木流通センターに来られるお客様で「木を取り替えたい」と、おっしゃる方が結構おられます。話を聞いてみると、造園工事の際に植える木の樹種と大きさだけを業者さんと決められて、工事を着工し植栽も終えて庭は完成したのだけれど「どうも、植木のイメージが違う」と、言う内容です。確かにそうですよね。
木は生き物ですから、一本一本樹形が違いますよね。葉の付き方だったり、枝の付き方だったり、幹のチョットした曲だったたり。

特に雑木を主にした「雑木の庭」なんかは、植える場所に合わせて、幹の曲がりを選ぶものですから。

それと、樹形の感じ方って、人によって見方が違うので感性を合わせるのは難しいですね。だから「イメージが違った」と、なりやすいのでしょうね。
子犬を飼おうと思ったとき、ペットショップに「ダルメシアンの子犬ください」って、電話で注文をしますか?。しませんよね。ショップに見に行きますよね。
私は、植木もそれと同じだと考えているので、見て頂くための植木がどんどん増えてしまいました。結果、造園屋なのか植木屋なのか訳のわからん状態となっています。

話を戻して。木を選ぶって樹形だけじゃありませんよね。

大事なのは根っこです。いくら樹形が良くても根っこが悪ければ、その木の価値はありません。なので、「木の植え方」のお話は、根がしっかりしている木が前提です。
根鉢がブヨブヨだったり、スカスカだったり、こんなのはだめですよ。あと、根鉢を粘土で固めている植木が、ちらほら出回っているようです。この粘土の根鉢は見た目では判りづらいんですよ。根鉢を触ってみて、カチカチだったり、幹元の土を指で確認するなどして探るしかないんですよ。

こういう根鉢の木は、今回の方法と違う植え方をする必要があります。 それと、植える場所の土は、ごく当たり前の土の場合ですよ。

例えば、ガチガチでツルハシでなければ掘れないとか、粘土でベタベタとか、低地で水が溜まるとか、異常に狭い植栽升とか、土の下がコンクリートとか、こんなのも「木の植え方」以前の話ですよ。
気になる方は 庭なのに土じゃないの? とか 根腐れとは
とかをご覧下さい。あまり参考にならない解決法を書いています。

「木の植え方」は、ここからです。

木の植え方で説明用の木の絵
木の植え方で説明用の木の根と穴の堀方

図1
そうですね、高さ2.5メートルの株立のシャラの木を例に話を進めます。根鉢の大きさは直径で40センチ前後、根鉢の高さが30センチだとします。

図2
木を植えるんだから穴を掘ります。根鉢の幅に、長靴の幅二つ分をプラスです。水捌けは大丈夫ですか?

木の植え方で説明用の穴の底
木の植え方で説明用の根が麻布で巻いている様子

図3
少し土を戻して、かるく足で踏んでおきます。平らよりやや盛り上がるように。穴の底が凹んでいると根鉢との間に隙間が出来てしまいます。

図4
シャラの木をヨッコイショと置きます。根鉢が麻布の場合はそのままでOKですよ。

木の植え方で説明用の穴の底に少し土を戻す様子
木の植え方で説明用の根に土を戻す様子

図5
少し土を戻します。シャラが倒れない程度です。ここで、木の向きや、立ちを見ます。気に入るまでやります。

図6
気に入ったら、また少し土を戻します。そして長靴で踏みます。だから、先ほど長靴の幅二つ分、広く掘ったんです。これで少しぐらい風が吹いてもシャラは倒れません。

木の植え方で説明用の水を与える為の水皿のようす
木の植え方で説明用の最後の仕上げ

図7
少しずつ土を戻しては踏んで、戻しては踏んでです。そのまま上まで上がってきます。少し盛り上げるのは、後で水を貯めるためです。(業界では水皿とか水鉢と言っています) 水皿に水を注ぎます。根鉢に水がスーット浸みていきます。

図8
実は、この水皿、私は好きではありません。どうも売り物の木と言うか、畑の中と言うか、養生中と言うか、どうにも木が浮いた感じに見えて、しっくりときません。なので、水皿を壊してかまいません。その方が庭らしく見えます。そのかわり今後の天気と木の様子を見ながら水を適度に与えて下さい。

これで、作業完了です。

後は支柱(木の支え)ですかね。この支柱も、見た目が良くありませんよね。なんか街路樹のようで、私は好きではありません。だけど、木が根付くまでは、やはり必要ですね。だから出来るだけさり気なく、必要最小限に、見た目良く支柱をしましょう。
木より目立つ支柱を目にすることがあります。あれは頂けません。あくまでも木が主役ですから。「木より立派な支柱をしてどうすんの?」。
図4で麻布を巻いたまま植えましたよね。「この布って、外すの?外さないの?」と、よく聞かれますので少し補足します。麻布自体は、一年ほどで自然分解します。なので一般的には巻いたまま植えますが、外して欲しい場合があります。
例えば、根鉢がズブズブとした感じで、根と土が肌分かれしているような時です。この場合、布を外して根と植える土を一体化する必要があります。 また、根鉢のまま長期間放置した場合も根を切り戻す必要がありますので、布を外して切り戻しを行います。
先に書いた、根鉢が粘土などで固めてあった場合も、布を外し粘土を解す必要があります。この時、乾いた粘度を無理に壊すと根がちぎれたり、皮が剥けたりしますので、布ごと水に漬け込み、粘土を柔らかくしてから解してください。
また、ツツジ類などは根詰まりを起こしやすいので、布を外して土の表面を軽く解してあげます。

ここまでで、何か違うぞと思われた方もいるでしょう。

実は、私の説明している「木の植え方」は、一般的に行われている木の植え方ではありません。一般的には「植穴に土を半分くらい戻し、水を注ぎ土をドブドブにして、更に土を戻す」と言う方法が多いようです。
私も以前は無意識にそうしていました。しかし、あるとき疑問が沸きました「この方法には、ある欠点が・・」と。

木の植え方では「水決め」と「突き決め(土決め)」という方法があります。

一般的に「木の植え方」で調べると、ほぼ「水決め」法が紹介されています。古くから多くの方が、されている方法なので否定はしません。植土がマサ土のような砂質土の場合は、理にかなった方法なのでしょう。
しかし、ここは札幌ですから、マサ土はありません。一般的な黒土(庭土)を前提にしています。

では何故、水決め(植穴に水を注ぐ)ではないのか?。


水を飽和状態まで含んだ土は、後に固くしまってしまう。例えば、水を多く含ませた土団子を作るとガチガチになりますよね。これは土の団粒構造が変化したことを意味します。


水が引いた後の土は、縮んでしまう。例えば、水たまりが乾くと土にヒビが入りますよね。これは土の団粒構造が密になり体積が減ったことを意味します。この縮みが根鉢と植土の間に隙間をつくってしまいます。


植土に注いだ水は、根鉢の中に染みていかない。そりゃあ少しは染みますよ。だけど根鉢に必要な水の量には全く足りません。
なぜ、根鉢に水が必要なのかは 根腐れとは を読んでいただけると判ります。
簡単に書きましたが、その違いをご理解いただけましたか。少しでも疑問に思う方は、一般的な方法で行って下さいね。少数派の仲間入りを強制はしませんよ。自己責任ということですね。

ところで、木を植える時、木の向きをしっかり気にしてますか?。

造園用語に「気勢」と言う言葉があります。 私たちは、この「気勢」を使って、住宅との間合いを計ったり、木の向きを見たり、木を微妙に傾けて立ち姿を見たりします。
「気勢」と言う尺度を使って庭全体のバランスを計ることができます。
感覚だけで作り上げる庭造りには、バランスを計るためにメモリが刻まれた物差しが欲しい訳です。この「気勢」については 造園屋が使う気勢とは をどうぞ。

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