ここは庭木流通センター内にある和風庭園の見本園を紹介しています。と言っても本来の庭作りとはだいぶ違います。実は写真で見えている石は擬岩なんです。だから叩くと「ポンポン」と音がしますが、見ただけでは全く判らないと思いますよ。当社の造園技術とFRPの加工技術の組合わせで今までにない新しい庭園空間を提案したいと思い見本園を作庭いたしました。庭木流通センター内に有りますので、ぜひ実物を見に来て下さい。
和風庭園の作庭に欠かせないのが庭石です。この見本園の写真で判るように、多くの石を使用しています。もし、写真の石が実物の自然石であったら、石の重量は100ton(トン)を超えるでしょう。そうなると造園の工事も大がかりな重機や基礎工事などが必要となるでしょう。
そこで、擬岩(FRP製)を使用することで、重量を150/1程度にすることが可能なのです。そうなれば、屋上庭園や中庭など重量や搬入の問題で不可能であった場所に本格的な和風庭園を作庭できるのです。庭のデザインを考え、擬岩を自社製作していますので、植栽との組合せがいい感じに仕上がっていると思います。
数寄屋門から見る庭園の入り口は大きな石組みで、奥へと誘う感じをだしています。ビオガーデンからの入り口は御簾垣を隔てて奥行き感をだしています。
自然樹形の雑木と石組みを合わせると、どちらもとも気勢を譲り合う微妙なバランスが出てきます。線の細い樹木は幹の本数を見せることで大きな石組みと同格な存在になります。
石を据える時、気を使うのが裾の見せ方です。裾の見え方によって石を大きく見せたり小さく見せたりできます。
方形ではない石や樹木の気勢の組合せは無限大にある。だから正解もなければ間違いも無い。石や樹木が落とす陰の気勢では、どうしても石が強くなる。それは、揺れないからなのだろうか。
造園用語で塵とは、僅かな高さや出幅の事である。素材を替えるつど、塵の付いた線を見せる。素材が持つ色の気勢を塵の大きさで緩和する。小さな塵が持つ気勢は以外にも大きな違いを生む。
庭を構成する全ての物に気勢がある。背景にある建物にも当然、気勢がある。視界に入る物を全て気勢という概念で見ると、それぞれの適材適所が決まってくる。また、見る人によって気勢の捉え方は違ってくるし、日によっても違ってくる。だから二度と同じ気勢を持った庭は造れない。